偏差値とゆとり教育
それまでの偏差値重視による「詰め込み教育」へ
いわゆるゆとり教育が本格的に導入されたのは、2002年から(高校は2003年から
)です。それまでの偏差値重視による「詰め込み教育」への反省から、国語、算
数、社会といった教科学習の時間が約3割削減されました。その代わりに「総合的
な学習(総合学習)の時間」が設けられました。それと同時に学校は週5日制とな
りました。
総合学習は、体験型の授業を通して、子供たちに「自ら学び、自ら考え、解決す
る力や、学び方、ものの考え方などを身につけさせる」ことを目標としています
。文部科学省がカリキュラムを設けることはせず、どんな授業を行うかは、各地
域の教育委員会や学校にまかせたのです。
だが、そのゆとり教育は、教育現場に大きな混乱を招きました。生徒が自分で考
える力を身につけられる授業を、いきなり独自に始めよと言われても、簡単に対
応できるものではありません。結果的に学校や先生の負担は増し、何よりも教科
学習時間の削減が学力の低下を招いているという批判の声がおこりました。そう
した声を受けて、2005年、中山成彬文部科学大臣は「ゆとり教育の理念は間違っ
ていなかった」としながらも、総合学習の時間を削減して授業時間を再検討する
方針を示しました。
しかし、ゆとり教育を実践し、子供たちの学力を高めている地域、学校もありま
す。京都市もそんな地方自治体の1つです。京都市の教育委員会は、次から次へと
画期的な施策を打ち出し、全国の教育関係者から一目置かれています。 例えば京
都市が着手した先駆的な試みとして、次のような施策があります。市の独自予算
で小学校1〜2年生に35人学級を導入、外部評価を含む「学校評価システム」を全
校に導入、教員の能力や実績を処遇に反映させる「教員評価システム」を導入、
市内の全公立学校の普通教室にクーラーを導入、中学校と保育園、老人デイサー
ビスセンターの複合施設「御池創生館」を設立、障害のある子供たちの就職を企
業と共同で支援する「職業学科」を養護学校に初めて設置などです。
中でも京都市の教育改革を一躍全国に知らしめた出来事があります。2002年に、
いわゆる「堀川の奇跡」です。前年度はたった6人だった京都市立堀川高校の国公
立大学現役合格者が、2002年にいきなり106人になりました。京都大学にも6人が
合格しました。堀川高校は京都市における高校改革のパイロット校と位置づけら
れ、3年前の1999年に大がかりな高校改革に着手したのです。生まれ変わった高校
の第1期生として入学した生徒の中から、106人の現役合格者が誕生ました。